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空間の誕生

数学や物理学を突き詰めていくと哲学に行き着くと言われているが、
これもそのひとつだろうか。
ビッグクエスチョン.jpg
一昨年亡くなったスティーブン・ホーキング博士の最後のエッセイ、
「ビッグ・クエスチョン」が話題になったが、そのなかにこんな記述があった。

 ビッグバンで正のエネルギーが大量に生じたとき、それと同じだけの負のエネルギーも生じた。正のエネルギーと負のエネルギーの差し引きはゼロで、エネルギーはその後ずっとゼロだった。全体としてのエネルギーがつねに一定であることは、もうひとつの自然の法則だ。  では、その膨大な負のエネルギーは、いまどこにあるのだろうか?負のエネルギーのありかこそ、宇宙のレシピ本に示された第三の材料、すなわち空間だ。奇妙な話に聞こえるかもしれないが、重力と運動に関する自然法則によると、空間そのものが負のエネルギーの広大な貯蔵庫なのだ。それだけ負のエネルギーがあれば、全てを足し上げた結果がゼロになれる。

 ここでホーキング博士は、ビッグバンによって発生した物質(正のエネルギー)を相殺できるような膨大な負のエネルギーが広大な宇宙空間に貯蔵されていると述べている。それがダークマターかもしれないし、第五実体かもしれないし、結局は何らかの「物質」が存在することを仮定している。
 しかし私にここでひとつのアイデアが浮かんだ。もしかしたら、「空間」そのものが負のエネルギーを持っていると考えることはできないだろうか。ビッグバンによって大量の物質が誕生し、同時に宇宙空間も物凄い速さで膨張している。発生した物質に応じてそれが存在可能な空間が誕生した。宇宙は「無」から発生したのだから、それはそれで辻褄があう。「無」とは何もない空間ではない。空間も無いのだ。このような、空間自体が負のエネルギーを持っていて、物質とエネルギー的に対をなしていると考えるのは突飛だろうか。

 最近、カルロ・ロヴェッリの「時間は存在しない」を読んだ時、実体と出来事をの違いを認識直すような記述があった。我々が実体だと思っているものは実は「出来事」であるのではないかと。時間という存在を考えるときには、実体ではなく、全て出来事、出来事を記述しているに過ぎない。実体と思っているもの、例えば目の前の石ころは分子運動的な出来事の一瞬の状態を記述しているに過ぎないと考えることもできる、と。ここではそのような物質の存在とはまた違った考え方を知った。

 新型コロナウイルス対策で自宅待機の時間が増え、こんな戯言を考える時間も増えてしまった。
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