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新・旧字体による推理

東大螢雪会.jpeg
これは近所の駅の広告である。いや、予備校の宣伝ではない。
日々、この看板を見ていて、気になって推理していたことがある。
字体に注目してもらいたいのだが、螢雪会、よく見ると、「螢」だけが旧字体。
他に、雪も会も旧字体「膤のつくり部分(ヨの中棒が突き出る形)」「會」があるが、
この看板では採用されていない。

それぞれの文字は、常用漢字表や当用漢字字体表など、国が標準の字体を決めて
国民に使用を推奨(強制?)する制度があり、文字の形も時代とともに変遷している。
今回は「螢」「雪」「会」のうち蛍だけが旧字体なのが気になり、
その字体が使われるようになった時期を、字体表などから推測し、
この予備校の設立年を推測しようと試みたので、それを説明していく。

さて、まずは「蛍/螢」であるが、
右側の旧字体から新字体へ変わったことが確認できる時期は昭和56年の常用漢字表である。
これまで新字体、旧字体ともに漢字字体表に掲載されておらず、
どちらの字体も使われていた。旧字体の方が多かったのか?はっきりはわからない。
S56蛍.png
例えば「螢光燈」などのように表記されていた。当時は旧字体の使用が一般的と考えると、
昭和56年から「蛍」の文字が使用できるようになったと考えて差し支えないと思われる。

次に「雪」であるが、これは軽微な字体変更であるが、
他にも「急」や「隠」「侵」「慧」にも同じことが起こっている。
気が付きにくい例として「虐」のEの字にも同じことが言える。
しかし、「彗」は突き抜けるままである。
さて、雪の字体が今の字に変わったことが確認できるのは、昭和21年、
字体整理案という参考文献にヨの文字に置き換えるとして「雪」が出てきている。
S21雪.png
この時から今の字体「雪」の使用が始まったと考えて良い。

最後に「会」であるが、文部省の参考文献を見てみると、
昭和13年の字体整理案には旧字体の「會」だけが載っている。
S13会.png
昭和17年の当用漢字字体表には「會(会)」として初めて新字体が登場した。
S17会.png
「会」の自体が使われる様になったのは昭和17年ごろからと考えて良い。

これらのことから推測される「螢雪会」の設立年は、
昭和56年以前、なぜならこれ以降であれば「蛍」の字を使用した可能性が高いから。
そして昭和21年以降、なぜならそれ以前なら「雪」の字が旧字体のはずだから。
というわけで、私の推理は昭和21年〜昭和56年ということで、ファイナルアンサー。

螢雪会のHPを見てみると、設立年は1979年(昭和54年)となっている!
ということで、私の推理が正しかったことがわかった。ただ、それだけ。

あー、写真左上をよくみると最初から答えが書いてあったようで、、、、。
SINCE 1979
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