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Book of the Year 2020

恒例のbook of the Yearだが、
今年の仕事の本部門はもちろん
「レジデントのための感染症診療マニュアル 4th」である。
青木眞によるいわゆる「マニュアル」である。
感染症診療に迷うたびに「青木眞は何て言っているか?」
の問いとともにこの本を繙いてる。
昨月の末に発売されたばかりであるが、
すでに仕事机の一番手に取りやすい場所に陣取っている。
これからもASTには欠かせない教科書として活用するつもりである。

さて、仕事の本以外の本部門であるが、
「大地」としたい。パールバック著作の大地である。
大地.jpeg
今年発売の本であればすでに書評を書いた落合淳志の「漢字の構造」で決まりであるが、
やはり、この年になってようやく、じっくり大河小説が
身に沁みて面白く感じてきたことを実感した本を選びたいと思った。
写真はいわゆるグリーン版(河出書房)である。
古典をよむにあたってはもっともコストパフォーマンスが良い
と思われるのがこのグリーン版だと思っている。
確か、この2冊、神保町で100円で手に入れた。
手ごろなサイズで二段組で読みやすい。
他の古典もできればグリーン版を手に入れたいと思っている。

話はそれたが、この大地、王一族を三代にわたって書き綴った大河小説。
当時の中国の風土や文化をまざまざと感じさせる表現に、
面白さを感じるとともにロマンを感じ、当時に想いを馳せた。
そんなに大昔ではない、手の届く範囲の過去。
例えば我が祖父祖母が体験していても
そんなにおかしくはない時代の話である。
ただ「そんなもんか」と思わせないストーリーの展開と、
魅力的な登場人物(特に女性陣)が、長い話にもかかわらず引き込まれる。

さらに「大地」は中国が舞台であるので、
どうしても山崎豊子の「大地の子」を思い出さずにはいられない。
「大地の子」育った地に還ってくる話、涙なしには読めない話。
この大地の子もあわせて読みたくなる。
最近の新聞のコラムに書いてあった表現を借りて言えば、
「2020年に後悔することは、大地を20代までに読まなかったこと。
読んでいればまた違った人生を味わえただろうと思う。」
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