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がん専門薬剤師研修:⑧-4日目

引き続き混注室でのひたすら混注研修。
ここではファシールを使用している。
シクロホスファミド(エンドキサン)にのみ使っている。

右の仰々しいものは、バイアルにファシールを接続するためだけの器具である。手でも刺せる。
ファシール.JPG

 4月の診療報酬改定で、閉鎖システムの使用に対してお金がもらえるようになり、使用し始めた施設が多いと思う。なぜエンドキサンのみでの使用かというところで、疑問を持つことも多いので、整理してみる。

 国際がん研究機関(IARC)により発がん物質の分類が示されている。段階は5つ。抗がん剤として使用されるものを列挙する。

1:発がん性を示すもの
 シクロホスファミド、タモキシフェン、チオテパ、メルファラン、エトポシド、砒素
2A:発がんの可能性が高いもの
 アドリアマイシン、シスプラチン、カルムスチン、ナイトロジェンマスタード
2B:発がんの可能性があるもの
 ブレオマイシン、ダウノマイシン、ダカルバジン、マイトマイシンC、ミトキサントロン
3:分類不能のもの
 5-FU
4:おそらく発がん性なし
 抗がん剤に該当するものなし

 「1」に分類されるもののうち注射剤が患者以外に曝露の危険性があることになる。さらに混注シーンを想定すると、その薬物の揮発性が問題となる。シクロホスファミド、カルムスチン、ナイトロジェンマスタードは23℃で揮発することが示されている。イホスファミド、チオテパは37℃からの揮発性があるとされているため、多くの施設ではシクロホスファミドのみを対象とすればよいことになる。

 ファシール以外に、日本で使える閉鎖システムにはパルメディカルのクレーブオンコロジーシステムがあるので、エンドキサンを使用する施設ではどちらかを使用することになるだろう。MDアンダーソン病院のデータでは、どちらも同程度に抗がん剤が漏れるとの検証結果が出ているので、まだまだ万全の対策とはいかないが、お金がもらえるうちに導入をすすめるのは薬剤部としての作戦の1つだろう。
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