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セレン製剤作製ミス、薬剤師書類送検のはなし

院内製剤のセレン注射液を作製し損ねて、
複数の患者に投与され、死亡事故を引き起こした件は
衝撃とともに記憶に残っている人も多いと思うが、

しばらく前の新聞記事に、関わった薬剤師二人が書類送検されたと掲載されていた。
セレン事故.jpg

この記事によると、関わった薬剤師の肩書きは大学院生と無職!
すでに京都大学付属病院の薬剤師を辞めているではないか。
こういった医療事故、医療過誤に際して組織は守ってくれないということを
はっきりと示している。おまけに薬剤部長はしっかりとその地位を守っている。

確かに間違えたのはその二人かもしれないが、
少なくとも悪意を持ってやったわけでは無いだろうし、
マニュアルが存在しなかっただの、問題点は組織にもあるだろう。

第三者委員会が検証報告を書いている。
https://www.kuhp.kyoto-u.ac.jp/press/20180326.html
当事者である京大病院のHPに詳しい経緯と対策が載っているので、参照されたい。
関わった薬剤師がどうなったのか。責任は誰がどうとるのかについては一言も触れていない。

気がかりなのは、このような医療事故の責任が個人に向かってしまうことだ。
改善策を見る限り、組織としての改善策が羅列されているのだから、
責任は組織にあるように思うが、事故の責任を押し付けられて、
当事者の薬剤師は組織を去っている現状は、全く納得がいかない。
特に、薬剤部長さんには責任をどう思っているのか感想を聞いてみたいものだ。

さて、余談であるが、最近転職をして、新職場で働き始めたのだが、
薬剤師損害賠償保険の加入について、職場から一切補助が出ないのだそうだ。
薬剤師会の年会費は職場から補助が出るのに、なぜだろうと思って理由を聞くと、
万一事故が起こった際は全額病院が面倒を見るから、保険に入る必要はないと。
毎年支払うお金よりも、
実際の事故に支払うお金の方が金額的に少ないと見積もっているからだそうだ。

正直びっくりである。しかし、「個人ではなく、組織が守る」と
嘘でも言ってくれていることが、ほんとうに温かい。
選んだ職場が良かったと思えた瞬間でもあった。
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いろいろあったが、退職。

と言う訳で、タイトルの通り、病院を辞めた。
病院買収後も中堅薬剤師として残留組を支えていく所存だったが、
余りの新病院の未来の無さにうんざりし、
ともに働いた仲間を残したとしても、去る決意をしたと言う事だ。

最大の理由の一つは、長年関わりあった医師の大半というか4/5は
医局の撤退や病院方針への背反により辞めてしまったと言うこと。
今後は金の儲からない診療科は冷遇し、血液内科や緩和ケア科などには去ってもらい、
リハビリや回復期病棟に鞍替えして収益を得る構造に変えていくとのこと。

ということで、がん診療、緩和医療、検診部門、研究部門は撤退。
マイナー診療科(眼科耳鼻科皮膚科などなど)は非常勤で賄い、
ERに力を入れ、整形外科、脳外科、リハビリテーションに注力すると。

それはそれで現在の診療報酬においてもっとも収益を得られる構造かもしれないが、
果たしてそれで、今まで培ってきた臨床薬剤師としてのスキルが生かせるのかと、
そう自問が続いて得られた結論が、退職なのだ。

他にも給料が下がるだの、買収に際して職務段階がリセットされるだの、
買収先のスタッフが大勢押し寄せて、様々な今までの仕組みや文化を
根こそぎ無くそうとも、そんなことは些細な問題に感じている。

最後まで泥舟に乗って後輩たちを逃がしてやるとか、
大層なことを言っていたが、
結局、買収後ものの数ヶ月で自分が去ることになろうとは・・・
情けなくてしょうがない。

なんのために後輩の指導をしてきたのか。
付け焼き刃の知識ではなく、長い目で見た教育が大切と考え、
臨床能力を高めるべく勉強会や論文抄読会、学会発表を積極的におこなってきたが、
こんな形で最もみっともない反面教師を演じることになろうとは。

せめてもの償いではないが、残った有給休日20日を捨てて、
7/31まできっちり働き納めし、
8/1から新職場で「四十の手習い」ではないが、それに近い形で、
ペーペーからやり直しているところである。

この年齢から新しい職場に慣れるのは不安が大きかったものの、
幸いにも暖かいスタッフや理解のある部長に恵まれ、今のところ
順調に業務を吸収し、こなしている。
部長が期待していると言う「新しい風を吹かせる」ことができるか甚だ心配であるが、
今はただ、精一杯目の前の仕事を捌いていくことが大切と考えている。
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